第6章 これは同棲なのか間借りなのか。
「?由架ちゃんも来てたの?」
扉を開けた私を見て壮さんは不思議そうに見つめながら言う。
「話がある。とりあいず、どうぞ。」
部長はそういうと私の変わりに玄関の扉を抑え、お姉ちゃんと壮さんを中に入れた。
「それで…こう言うことになってると。」
事情を説明して、付き合っているということを伝えるとお姉ちゃんはあたかも予測していたかのようにすんなりと状況を飲み込んでくれた。
けれど、その一方で壮さんは険しい表情を浮かべている。
そしてそれを和らげるかのようにお姉ちゃんは「それで、あんたたちは結婚する気はあるの?」という。
その質問は私が一番怯えていた質問で。
それを言われてから膝の上に置いている手の震えがおさまらなかった。
すると、隣に座っていた裕がそっと私の手の上にそっと自分の手をのせて握ってくれた。
「はい、そのつもりです。本当はまだ言うつもりじゃなかったんですけど、隠すのも良くないと思って。」
重い空気に何も答えられない私を守るように変わりに裕が答えてくれた。
「ごめん、状況をまだ飲み込めそうにない。今日は帰る。」
突然そういって一人で壮さんは部屋を出ていってしまった。
「ちょ、壮くん!?ごめんね!また今度!」
それを追うかのようにお姉ちゃんも部屋を出ていってしまった。
「やっぱり、ダメなのかな。」
いつの間にか泣いていた私を、裕は抱き締めた。
「大丈夫だ、俺を信じろ」
その言葉からは力強い決心が伝わってきた。
けれど任せっきりじゃ、ダメなんだ。
私は私でちゃんとしなきゃ。
そんな思いが脳裏から焼き付いて離れない。
私たちはこの先どうなってしまうのだろう。