第6章 これは同棲なのか間借りなのか。
「…朝だ、起きろ。」
…あれ?いつもより声が近い気がする。
横でいっているような。
薄ら目を開けると、隣に人影があって。
しっかり目を開ければ、目の前には裕がいた。
「なんで隣にいるの?」
私がそう聞けば、彼は「一人にしておけなかったからな。」と言って私の頭を軽く撫でた。
私は昨日あったことが夢のようにも思えた。
ただの悪夢で、本当はなかったことなんじゃないかって。
けれど、リビングにいけばお姉ちゃんたちが持ってきた手土産のお酒が置いたままになっていた。
夢じゃなかったんだな…
私はそう心に思いながら暗い気持ちで裕が作った料理の並ぶ食卓に座る。
「昨日のこと、本当に気にしなくていいからな。」
裕はご飯を食べながら私に言う。
「でも…」
「でもじゃないよ。これは俺の方に責任があると思ってる、あんたには何の罪もない。」
私が否定しようとすればそれを裕が否定した。
「…それってアンフェアじゃないですか?」
私がそういうと裕は不思議そうな顔をする。
「私は、辛いときは頼ってほしいです。仮にも私の方が年上なわけですし。それに、これは今後私たちの関係を続けていく上で絶対解決しなきゃいけない問題です。だからこれは裕だけの問題じゃなくて私の問題でもあるんです。」
私が思ったことを言うと、裕は私に少しだけ微笑みかけて、
「わかったよ、お姉さん。ちゃんと相談もするし、自分一人で片付けたりはしない。約束する。」
といった。
そのあとに、裕はこんな相談を私に持ちかけた。
「これをきっかけにするのもなんだが、俺にたいしての敬語、プライベートだけでもやめてくれないか?」
そう言われて私は喜びを感じた。