第6章 これは同棲なのか間借りなのか。
インターホンの呼び出しがあることに気がついた私は自室を出た。
すると同じく気がついた裕が出てきていた。
「誰だろうな。」
家主である裕でさえも誰が来たか検討がついてなかった。
私と裕はインターホンの映像を見る。
そこには見覚えのある二人の姿があった。
「裕、突然ごめんね。」
「遊びに来たよ♪」
そういってインターホンカメラに手をふるお姉ちゃんと壮さんがいた。
私は今をどう説明しようかと動揺する。
私は悩みながら少しだけ上を見ると裕が「今隠すとあとで面倒なことになる。兄さん達だけにはとりあいず伝えてみないか?」という。
「…反対されたらどうしよう…」
思わず呟いてしまった私を見て部長は手を握ってくれた。
「大丈夫だ。もしそうなったとしても俺がなんとかする。」
そういってインターホンのマイクをオンにして部長は「今開ける。」と言って玄関の扉へと向かって歩いていった。
私はその後ろを恐る恐るついていく。
けれど部長の背中は逞しくて、いつもは頼れる[上司]だったけどそれは今では頼れる[恋人]に変わっていた。
私はこれから先も彼に頼りっぱなしの守られっぱなしなのだろうか。
仕事もプライベートも。
今まではただの上司だった裕が今は恋人で。
形は変わっているけれど家に帰っても会社に行っても。
彼に守られ、私自身がたよってしまっていることに変わりはない。
それっていいことなのかな?
人には限界がある。
その限界に到達したとき、大半は終わりを迎えてしまう。
だから限界に到達しないために対策をしなくてはいけない。
これからは守られっぱなしじゃダメなんだ。
頼りっぱなしじゃダメなんだ。
私たち意を決して玄関の扉を開けた。