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Diable Patron

第6章 これは同棲なのか間借りなのか。


今日も残業だった。



けれど今では残業も苦ではない。



私たちにとってはこれも一緒に過ごせる時間の1つ。




といっても別にイチャイチャできるわけじゃない。




ただただ仕事をするってだけ。けどそれも私にとってはいい時間だった。




この部署に来てから裕のおかげで残業と共に残業代が増えた。



けどこれも今ではよかったことだが。




付き合う前と今で残業している時の態度は互いに変わりはない。




デスクがすごく近いわけでもないし、私が終わったものから黙々と部長のデスクに持っていくってだけ。




でもこの時間も嫌いじゃなかった。




変わったことといえば…





私が裕の残業が終わるのを自分の残業が終わっても待つようになったことだろうか。



「日向、自分の仕事終わったらなら帰っていい。明日もある、ゆっくり休め。」



裕はそう言うが、




「別にいいですよ、気にしないでください。」




私はそう返す。




あくまでもこの場所では[部長]と[部下]。




その距離感を保たないといけない。




だから無駄なことは言えない。




別に家に帰ってからイチャつけるわけじゃない。



なかなかそんなことできないというか。




そんなことを考えているうちに部長は残業を終える。




「終わった。帰り車だすよ。」



部長は私にそういう。




こんなこと言うのも、暗黙の了解で回りには隠そうって思ってるからだと思う。




この建物に入ればあくまでも[部長]と[部下]。




お姉ちゃんたちの前にいけば私はあくまでもお姉ちゃんの妹だし、裕は壮さんの弟。




今のままじゃ、どんな人の前にいても恋人として隣にいられることはない。




別の関係として隣にいや、近くにいることになる。




このままなのは嫌だな。



私はそう思いながら部長の後ろを歩いた。
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