第5章 一晩の過ち。
窓の外から光が指す。
「ふぁ…」
あくびをしながら薄く目を開けた。
回りの景色がいつもと違う。
「おはよう。」
どこからか声がした。
「誰…」
私は戸惑いながらも、寝ぼけているだけかもしれないと思いながら呟く。
「俺だ。」
「え…?」
私の顔を覗きこむその人は部長だった。
部長は私の目の前に立ち、ネクタイを締めていた。
体がスースーとして、なんとなくダルい。
布団の中を覗けば私は服を着ていなかった。
「あの~…」
「今日は会社、休むだろう?俺は行くが、大人しく寝ていろ。リビングの机に鍵は置いておく。」
「あっ…」
部長は私の話を聞かず、部屋を出ていってしまった。
状況が読めない。
もしかしてとは思うが
[部長に抱かれた??]
まさかとは思う。
思うけど、昨日の夜の記憶が全くない。
相当な悪酔いをしていた記憶はある。
けれどそこから先の記憶はなかった。
起き上がろうとすると腰と共に頭も痛んだ。
二日酔いだろう。
枕元にあったライトスタンドを見ればそこにはお水とメモがおいてあった。
「キッチンに軽食を作ってある。食べれそうなら食べろ」
けれど私はすぐに起き上がれそうではなかった。
別に男に抱かれたことがなかった訳じゃない。
ただ単にご無沙汰だっただけだ。
「しんどい…」
私は思わず呟いた。
状況が状況だし、昨日私は一体部長に何を言ったのだろうか。
好きなどと言ったのだろうか。
そして部長も何を考えているのだろうか。
すべてのことにおいてわからなかった。
そして私は思い出す。
週末からこの部屋に住むことを。