第5章 一晩の過ち。
「部長~」
「どうした、日向。」
記憶はあやふやになりながらもそんな会話だけが続いていることはわかる。
「部長って何で私の子と名前で呼んだり、名字で呼んだり、定着しないんですかぁ…」
よっていて滑舌が回らなくなってきていた。そのため所々のばしぎみになっていた。
「それはその。何でもいいだろ。それに、日向は兄さんたちと会ったときも部長って呼びかけた。そんなやつに言われたくない。」
そう顔を赤くしてそっぽを向く部長の頬を私はツンツンと突っついた。
「顔赤いですよ…」
「気のせいだ、気のせい。相当酔ってるんじゃないか。」
そういって私の問を誤魔化す部長をみて、私は
「そういう、思わせぶりな態度…とらないでください。」
と言ってしまった。
いつもの私ならそんな失言はしないし、いってもやらかした等と思うのだろう。
けど今の私にはそんなことを考えないくらいに酔っていた。
「それどうゆう意味だ?」
「どうゆうってそうゆう意味ですよぉ…」
「日向…お前今どんな状況かわかってそれいってるのか?」
「そんな思わせぶりな態度とってしれっとしてる人に言われたくないですよぉ…」
きりつめたような空気が空間に広がる。
「私、最近気づきました…部長が優しいってこと…けど残業は私にばかり頼むし、けど風邪引いたら優しくしてくれるし…私、部長が何したいのかわかんないです」
私がそう言ったとき、部長が軽く私の髪を触った。
「どうしたんですかぁ…?」
私が問いかけると部長は私に問いかける。
「由架、俺のこと好き…なのか?」
「かもしれないです。」
私がそう言ったとき、体が中に浮いた気がした。
「どうなってもしらないからな。」
そう部長に言われたあと見覚えのある寝室に運ばれた。
けれど、私にはそのあとの記憶はなかった。