第1章 初恋はピュアじゃない
眠れない夜が明けて朝がきた。
「おはよう。」
扉を開けてリビングに入ると
珍しく私より先に兄の姿があった。
「おはよう由美。」
別にいつもと変わらない様子で
朝食を食べる兄の姿。
周りを見渡すけれど
どこにも母の姿がない。
「お兄ちゃん、お母さんは?」
「あー、なんか出かけるって。」
私の分の朝食もちゃんと
用意してくれてあったので、
兄と対面する席に座った。
まるで昨日のことが嘘のよう。
こんなにドキドキしてるのは
私だけなのだろうか。
好きで好きでたまらない。
自分の気持ちに今まで
セーブをかけてきた。
迷惑かけたくない、嫌われたくない。
その一心で黙ってきたけれど、
お兄ちゃんも同じ気持ちなら、
もう隠さなくてもいいかな。
「ねぇ、お兄ちゃん。」
「ん?」
私は座っていた席から立つと
兄の方へと近寄って、
後ろから何も言わずに抱きしめた。
「は?何してんの?!」
兄はびっくりしたのか
騒いではいるが引き離そうとはしない。
「ねー、お兄ちゃんが悪いんだよ。」
そうだよ、お兄ちゃんが悪いんだ。
私の気持ちも知らないで
思わせぶりな態度をとるから。