第3章 兄は何者!?
兄が学校にきた。
そのことに驚きすぎて忘れていたが、
私と兄は禁忌を犯した。
お互い、両想い…?って
考えていいんだよね。
そんなこと確認する間もないまま、
私たち2人の学校生活は
始まってしまったのだ。
「おい、鳴海?聞いてるのか!」
そう授業中だということを
忘れてしまうくらい突然に。
「す、すいません!」
慌てて謝ると、
私の後ろに立っていた
兄がクスッと笑ったのがわかった。
苛立つ気持ちを懸命に抑えながら
私は1日耐えきった。
「今日の由美なんか変じゃない?」
「そうかな?」
「そうだよ、なんか心ここにあらずって感じ。」
「ちょっといろいろあってね。」
「そう?何でも聞くからね!」
「ありがとね。」
真衣にまで心配をかけてはいけないと
私は気分を新たにして
明日からは学校に行こうと誓った。
「ただいまー。」
しんとした家の中には
人の気配は感じられない。
兄はまだ帰ってきていないようだ。
「お兄ちゃんは何を隠してるんだろう。」
そんな疑問を口にしてみたけれど
謎はどんどん深まるばかりだった。
兄を好きになって恋をして、
気持ちを伝えたけれど、
兄は私にも言えないような
秘密を抱えてる。
私はまだ兄のことを
何も分かっていないのかもしれない。