第3章 兄は何者!?
「鳴海先生にはこのクラスについてもらうからな。」
うちのクラスの担任がそう告げると、
「起立、礼。」
日直の号令によってSHRがしめられる。
いまいち状況を理解出来ていない
私ただ1人を除いて。
「鳴海先生ー!何歳?」
「22歳ですよ。」
「若い!やばいね!」
そこそこイケメンなそのルックスに
クラスの女子たちは群がる。
私の兄なんてことは誰も知らないからな。
まあ、知らなくていいけど。
「由美ー!鳴海先生かっこいいね!」
真衣ももちろんその1人だ。
私は深くため息をつくと、
すっと自分の席をたつ。
「由美?」
そして兄…鳴海先生のほうへ歩いて
私は少し怒り気味に、
「どういうことか聞いてもいいですか?」
「あー、怖い。由美ちゃん。」
兄は小さく私の耳元でそう呟いた。
「お、質問かい?熱心だね。」
そう大きな声でいい直すと、
私を連れて教室を出た。
「お兄ちゃん、どうなってるの。」
「まあ、事情があるんだよ。」
兄は教育学部ではない。
だから教育実習なんてありえないのだ。
どうやらとても言えない
訳があるらしい。
「俺とお前が兄妹なの秘密だからな。」
兄には隠し事がある。
そう私は確信したのだ。