第4章 復帰
「「明希!?」」
僕「...え?」
いきなり大きな声で僕の名前を叫んだメガネの男性と、明るい髪色の女の子。
男性もとい林藤さんは、ポカーンとした顔で僕を見て固まっている。女の子…小南桐絵は、今にも泣きそうな顔で僕に近付いてくる。
小南「あんた...今までどこ行ってたのよ!!」
僕「...」
僕と桐絵以外は全員この状況に追いつけていないようで、林藤さんに続いて口をあんぐり開けてポカーンとしている。
それとは真逆に、桐絵の顔は怒りと悲しさが一緒になっていた。
小「あたしに何も言わずに急に居なくなって...どれだけ心配したと思ってんの!?ボスや忍田さんに聞いても教えてくれないし...上のおっさん達ははぐらかすし...グスッ」
僕「桐絵...」
小「何があったか知らないけど!!せめて出て行くことくらい言いなさいよ!!バカ!!」
そう言った桐絵を包み込むように優しく抱きしめる。
桐絵は普段の言動からはそう見られないが、中身は凄く純粋で、友達想いで、優しい子で...とても傷つきやすい子だ。
それを一番分かっているのは僕なのに、こんなに僕を大切に思ってくれてるのに、僕は桐絵を傷付けてしまった。
自分が凄く情けない。
僕「...ゴメン。もう、いなくならないから」
小「...ホントに?」グズッ
僕「うん。ホント。だから泣かないで?桐絵にはずっと笑ってて欲しいから。もう泣かせたりしないから」
小「...わかったわ。今回だけは許してあげる」
いつもの強気な口調に戻った桐絵の頬に流れている涙を、指でそっと拭ってやる
すると桐絵は擽ったそうに笑う。やっぱり桐絵には笑顔が似合う。
迅「あの〜...ちょっといい?」
ふと横から悠一が声を掛けて来た。そういえば居たんだった。
僕「あ、ゴメン。完全に放置してたね」
迅「いや、うん。ちょっと置いてけぼり食らったけど大丈夫」
烏「気にしないで下さい」
ソファの方から京介の声が聞こえた。どうやら京介はここの隊員だったようだ。
小「それより!明希がここに帰って来たって事はボーダーに復帰するんしょ?」
迅「帰ってきた?復帰?どういう事?」
林藤「なんだ藤咲、迅に言ってなかったのか?」
迅「何をです?」
混乱している悠一に、いつの間にか復活していた林藤さんが答える。
林「藤咲は、ボーダー最初期からいた古株なんだ」