• テキストサイズ

# 3104【気象系】

第4章 # 4n5


「なぁ、智。 ちゃんと話そうな」

「……」


相葉くんが運転するレンタカーをルームミラー越しに確認しながら、慎吾がポツリと呟いた


「和也くんだってきっと分かってくれる」

「そんなの…」


“分かるわけ無いだろ”
そう続けるつもりだった

だって分かりたくもないだろ、実の弟を裏切って見捨てた兄貴の気持ちなんて


「血の繋がった兄弟、だろ?」

「…っ、」


「智の弟じゃん」


だから大丈夫だ、なんて
なんの根拠もない理由を自信満々でさ


「案ずるより産むがナントカ、って言うだろ?」

「易し、だよ」

「ヤスシ? 誰、ヤスシって」

「人の名前じゃないよ…」

「え? そーなの?」




慎吾と話してるといつもこうだ
場を和ませてくれるのも
不安を取り除いてくれるのも
いつも、慎吾で


「容易い、って意味だよ」

「へぇー! 智って物知りだな!」


慎吾が国語の勉強をちゃんとやってなかっただけだ、って言ったら
体育と図工と給食の為に学校に行ってたからな!と胸を張って答えるから、慎吾らしいなって笑った


「そうやって笑ってなよ」

「っ、」

「俺、智の笑顔好きだぜ?」

「何、バカな事言ってんだ」



きっと、僕の方が。

今まで何度…慎吾の笑顔に助けられたと思ってるんだ
そんな事、口が裂けても言ってやったりはしないけど
/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp