第4章 # 4n5
“こちらにお願いしてホント良かったです。ありがとうございます!
潤、喜ぶだろうなぁ”
“気に入って頂けて良かったですよ”
プレゼントする相手、友達って聞いた。
ジュンって言うんだ
“桜の花びらがS字になってるし!
しょーちゃんのSだって言ったら顔真っ赤にしそう”
しょうちゃん、は彼女かな
ショウコちゃんって名前なのかもしれない
偶然の産物だけど…花びらの配置、拘ってよかった
「14,780円です
15,000円、お預かりします
220円とレシートのお返しです。 ありがとうございました ―――」
お客さんを見送り、僕もそっちに行って挨拶を
そう思って一歩踏み出した時。
“それ、イイ色でしょ?”
別の場所から慎吾の声が聞こえて。
“…はい、”
たった一言発せられたその声にピタリと歩みを止めた
“ # 3104って言って、うちのオリジナルカラーなんですよ
あっ。俺、コレの色塗った人です!
この色を作ったのは…”
慎吾がキョロキョロと店内を見渡す
ダメだよ
僕を探さないでくれ
「居た、居た! 智!」
「サトシ……?」
間違いない
この声に聞き覚えがあった
忘れるはずなんか無いんだ
僕は
この声の主を知ってる。