愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第8章 在邇求遠
僕を貶めるために用意した筈の薬酒に、組み敷いた潤の呼吸が乱れ始める。
自分で仕掛けた罠に、自ら掛かるなんて‥
馬鹿な男‥
僕は潤の着物を剥ぎ取り、顕になった白磁の肌に唇を落とすと、ゆらゆらと揺れる茎を手に握り込んだ。
「俺に‥触れるな‥」
この状況でもまだ威勢を張り続ける潤が、可笑しくて‥
僕は込み上げる笑いを堪えることなく、潤の両足を割開くと、その間に身体を割り込ませ、手にした茎を口に含んだ。
舌を絡め、先端の窪みを甘噛み、次第に硬く張り詰めて行くそれを、慾を吐す際まで攻め立てる。
ふと顔を見上げれば、それまで一度だって見せたことのない、苦悶に満ちた潤の顔が僕を見下ろしていて‥
「潤さま‥、貴方を僕のここに‥」
たらたらと滴を零す茎を口から出し、根を掴んだ手はそのままに、僕は潤の上に腰を落とした。
「んあっ‥、ああっ‥」
身体が避けてしまいそうな深い繋がりに、僕の両の目から涙が零れ落ちる。
「こんなことをして、ただで済むと思っているのか‥」
「言った筈でしょ‥?共に堕ちよう‥と‥、だから‥‥」
僕は両手を潤の胸に着くと、乱暴に腰を揺らした。
「‥ああっ‥潤様っ、‥」
隙間と言う隙間を埋め尽くすように張り詰めた茎が、僕を高みへと誘うように秘部を掠める
「‥っん、‥あんっ‥‥」
僕の口から零れる吐息はやがて嬌声に変わり、苦悶に満ちていた潤の顔は恍惚の表情へと変わった。
「あっ‥ん、やぁ‥っ‥」
あと少し‥
もう少しでこの男を‥‥
「‥そこをっ‥ああっ‥‥」
次第に揺れ始めた潤の腰が僕を下から突き上げる。
そして、
「潤様っ、‥もう‥っ‥」
僕が根を上げる寸前、急に腰の動きを止めた潤の口から小さな呻きが漏れ、僕の中に熱い物が広がった。
「僕に下さったのですね? 潤様の愛の印を僕に‥。ああ、嬉しい‥」
僕は己の慾を吐き出すことなく、潤の首に両腕を絡めると、荒い呼吸に上下する胸に顔を埋めた。
心の中で唾を吐きながら‥‥
底の見えない悦楽の沼に堕ちた僕は、壁の向こうで僕を思って涙を流す存在にすら、気付かなかったんだ。
その時は‥