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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第8章 在邇求遠


潤の上で淫らに腰を揺らしながら、僕はその機会を伺った。

そして潤の手が硝子瓶と器を掴んだ瞬間、僕は手にしていた腰紐で潤の両の手首を一纏めに縛り上げた。

硝子瓶が潤の手から滑り落ち、零れた液体が床に広がった。

「何のつもりだ‥」

潤の刺すように鋭い視線が僕を射抜く。

その視線の冷たさに、僕の背中を冷たい物が流れる。

でも、


ここで怯んだら潤の思う壺だ‥


僕は怯えを気取られないよう、引き攣った微笑みを浮かべ、一纏めにした潤の手に唇を落とした。

「いつも同じではつまらないでしょ?たまには違った遊びをしませんか?」

潤の手に頬を擦り付け、上目遣いで見上げる。

「ほう‥、お前が俺を愉しませてくれると‥?」

「ええ‥」

「ならば愉しませて貰おうか‥、その“遊び”とやらをな‥」


掛かった‥


不敵に笑う潤に口付け、僕よりも一回り広い肩を長椅子に押し付けた。

僕に押し倒される格好になった潤は、表情一つ変えることなく、されるがままにその身を長椅子に投げ出した。

「ふふ、愉しい夜にしましょ?」

「それはお前次第だ」


くくく‥、いつまでそうやって強がってられるのか、見せて貰おうか?


僕は一旦潤の上から降りると、覚束無い手付きで、両手を括った腰紐の端を、長椅子の足に括り付けた。

「飼い猫に寝首を掻かれるとは‥正にこの事だな‥」

「ふふ、僕だっていつまでも従順な子猫ではいられませんから」


尤も、僕はお前になど飼われた覚えは、一度だってないけど‥


僕は床に転がった硝子瓶を拾い上げると、そこに辛うじて残っていて液体を口に含み、再び潤の上に跨った。

「どうするつもりだ‥」


どうするも何も、することは決まっているでしょ?


潤の顎を掴むと、引き縛った唇を指で抉じ開け、口に含んだ液体をそこに流し込んだ。

ごくり、と音を鳴らして、液体が潤の喉元を通って行くのが分かった。
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