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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第7章 掌中之珠


和也side


俺が怖がったりしたから‥
だから雅紀さんは‥

そう思うと申し訳さばかりが込み上げてくる。


あの人は‥智さんはちゃんと受け止められたのに、どうして俺は‥

不意に浮かんだ智さんの妖艶な姿を振り払おうと、俺は一瞬固く瞼を閉じた。


駄目だ駄目だ‥
比べちゃいけないんだ‥
智さんと俺は、同じ“人間”でありながら、全くの別人なのだから‥

人と比べたがるのは、いつの間にか身に付いてしまった俺の悪い癖‥

でもいつまでもこんな俺じゃ駄目だ。

だって雅紀さんは言ってくれたじゃないか、俺を”大切な恋人”だと‥

愛おしくて堪らないと‥

俺を嫌いになったわけではないと‥

広い胸に預けた身体から力がどんどん抜けて行く。


ああ、なんて幸せなんだろう‥

雅紀さんの腕に抱かれている‥それだけでこんなにも幸せな気持ちになれるなんて‥

もし雅紀さんと繋がることが出来たなら、今よりももっと‥幸せに満ち溢れた気持ちになれるんだろうか‥


「あ、あの‥、いつか‥、俺にちゃんと、その‥覚悟が出来たら、その時は‥」

俺をあなたの物に‥

広い背中に腕を回し、雅紀さんの胸に熱くなった頬を擦り付ける。

すると雅紀さんの手が俺の頬をするりと滑りながら顔を上向かせ、指で俺の唇をすっと撫でた。

「そうだね、その時は私も遠慮はしないよ?」

「‥‥はい‥」

「その前に私が君に嫌われない様にしないとね?」

そう言って始めて見せた、雅紀さんの悪戯っ子のような笑顔に、俺の心臓が跳ね上がる。


こんな顔、するんだ‥‥

なんだか嬉しい‥


「そ、そんなことあるわけないじゃないですか‥。俺の心は雅紀さんだけの物ですから‥」

「それを聞いて安心したよ。さあ、そろそろ休もうか?寝不足の顔で和也を帰したりしたら、私が翔君に叱られてしまうからね」

俺の身体をそっと布団に横たえ、俺の首の下に腕が差し込まれると、布団がそっとをかけられた。
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