愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第7章 掌中之珠
私は情欲を覚えはじめた和也の表情(かお)に見惚れてしまい、自分のものが限界近くまで熱を溜めていたことを忘れそうになっていた。
あと少しというところまで追いつめられた私は、薄紅色の頬に手を添え小さな口の中から自身を取り出すと、汚してしまった唇を拭う。
そしてその行為を途中で止められて戸惑う身体をそっと横たえた。
薄闇に浮かび上がる白い肌はその白さを際立たせていて、開いた両足を持ち上げれば、その奥にひっそりと隠れるように小さな蕾が見えた。
何とも可憐にすら見えてしまうそこに、私の滾りを‥
大丈夫‥だろうか‥
愛おしいが故に、躊躇いが生まれる。
「少々痛いかもしれないが、堪えておくれ‥」
私が唾液を纏わせた指先を、小さな蕾に少しだけ挿し込むと
「えっ‥やっ、なにをっ‥」
和也は驚いた声を上げて身体を強張らせ、何かを掴もうと手を彷徨わせた。
そして咄嗟に握った小さな手は、ぎゅっと私のそれを握りしめる。
「ここに私を‥受け入れてくれるかい?」
他人はおろか、自分ですら触れることの無いであろう場所に指先をさし挿れられれば、驚くのは無理も無いだろう。
「そこに‥雅紀さんを‥‥?」
困惑しきった顔で見上げる頬に一つ口づけの落とす。
自ら身体を開いてきた智とは明らかに違う‥未知の不安に戸惑いを隠しきれない和也の表情に、思いもよらなかった迷いが生まれてしまい、それ以上指を進められなくなった自分に驚いてしまった。
「怖いかい‥?」
私も‥そんな表情(かお)の君を見てしまうと、どうしていいか分からなくなるよ。
「少し、だけ‥でも、雅紀さんなら‥おれ‥」
つまづきながらも、何とかそこまで言ってくれたけれど、それ以上何も言えなくなってしまった愛しい者の身体から、そっと指を外した。
「え‥‥ごめんなさいっ、そんなつもりじゃなくて‥あの、どうしたらいいか‥んっ‥」
そして途端に不安の色を濃くした瞳までも覆うように小さな唇を塞ぎ、舌先でも軽くそれに触れる。
すると強張っていた身体から少しずつ力が抜けていって‥それに安堵してしまった私がそこにいた。