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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第7章 掌中之珠


雅紀side


一度、快楽を覚えた身体は導かれるままにそれを深め、あっという間に昇りつめると、ガラスの鈴をひと振りしたような声を上げて精を吐した。

その姿を愛おしいと思ったのも束の間、飛び退ってしまった恋人は、今にも泣き出してしまいそうな顔で謝罪を口にする。

まさかそんな風に思わせてしまうなんて考えも及ばなかった私は、驚きと共に、これまでとは違った感情が胸に湧き上がってくるのを感じた。


智と共に快楽に身を任せていた頃には、そんなことは思いもしなかった。


和也を大切にしてやらねば‥


驚かせると直ぐにくるりと殻の中に隠れてしまうような怖がりな子を、愛おしい想いで抱きおこし、私たちは想いを結んだ者同士なんだと、怯える瞳にもう一度教える。

これからも‥何度でも君に教えてやらねば‥

きっと君は堅苦しい殻に閉じこもってしまうのだろうね。

想いを結んだ者同士になら許される‥いや、歓びとなることが沢山あるのだということを教えてあげねば‥


私は柔らかな手を取り自分の昂ぶりへ導くと、その上から手を添える。

「分かるだろ?和也に触れられて、私がどれだけ歓喜しているのか‥」

目の縁を紅く染めて見つめる瞳にすら、堪らない歓びを感じてしまっていたというのに、

「あ、あの‥、口を触れても‥?」

と恥ずかしそうに小さな声でそう口にする。

「無理はしなくて良いんだよ?」

「お、俺、無理なんてしてません。俺もその‥雅紀さんのことが好きだから‥だから‥」

そう洩らした言葉が嬉しくて、林檎のように真っ赤に染まった頬をひと撫ですると、膝まづいた和也は躊躇いがちに私のものに唇を寄せて

「あ、あの‥、何分初めての事で、不慣れですけど、笑わないで下さいね?」

何とも可愛らしい前置きをすると、小さな口いっぱいに私のものを頬張ってしまった。

「ああ‥、君と言う子は‥」

こうして身体を愛しみあうのも初めてだというのに、懸命に想いを伝えようとしてくれる姿に‥温かな舌が絡みつく快感に、歓びが膨れ上がるのを感じる。


ああ‥なんと愛おしいんだろう。

柔らかな髪を梳いてやると、時折嬉しそうな瞳で私を見上げる。

「君のその顔‥決して私以外に見せてはいけないよ‥?約束しておくれ?」

君のそんな表情(かお)を見ることが許されるのは、恋人の特権なのだから‥。

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