愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第7章 掌中之珠
「も、申し訳ございません‥!」
息を整えることなく飛び起きると、俺はその場に膝を折り、頭を布団に擦り付けた。
俺はなんてことを‥
いくら堪えられなかったとは言え、雅紀さんの口の中に吐精してしまうなんて‥
一昔前なら、首を切り落とされたって仕方のないことを俺は‥
「どうか‥どうかお許しを‥‥」
お終いだ‥
もう全部お終いだ‥
俺は顔を上げることすら出来ずに、ただ肩を震わせた。
「謝ることはない。さあ、顔を上げなさい」
雅紀さんの手が俺の肩に置かれる。
「いいかい、和也。君が気に病むことなど、何もないんだよ?私が君にして上げたかっただけだから‥。でも君を困らせてしまったのなら‥済まなかったね?」
「そ、そんな‥、旦那様は何も‥。悪いのは、堪え性のない私ですから‥」
雅紀さんに嫌われてしまった‥そう思うと涙が溢れて仕方なかった。
頭を布団に擦り付けたまま、俺は首を横に振った。
でもそんな俺を、大きな手と温かい胸がふわりと包み込んだ。
「全く君という子はなんと可愛らしい‥。そんな可愛い子には罰を与えねばな?」
当然だ。
俺はそれだけのことをしでかしたんだ。
どんな罰だって甘んじて受ける必要がある。
「さて、どうしてくれようか‥」
ごくりと息を飲んだのが分かったのか、雅紀さんが俺の背中を撫でながら、くすりと笑う。
そして俺の顔を上向かせると、頬を濡らす涙の粒を一つ一つ唇で吸い取って行った。
「旦那‥様‥?」
「おや?私はそのような名ではなかった筈だが‥?」
俺の顎に手を掛けたまま、親指が唇の輪郭をなぞるように撫でる。
そしてそれはいつしか俺の唇を押し開き‥
「恋人の名を違えるとは‥君は悪い子だ‥」
恋‥人‥‥?
俺が雅紀さんの‥恋人‥?
その、たった二文字に戸惑う俺の手を、雅紀さんが自身の中心へと導く。
「良くお聞き?君は私の口の中で吐精してしまったことに自責の念を感じているようだが、それは違うよ?和也には初めてのことで驚いたかもしれないが、好いた者同士ならば、当然の行為なのだよ」
俺よりも一回りも大きな茎を握り込んだ手が、雅紀さんの手によってゆっくりと上下を始めた。