愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第7章 掌中之珠
和也side
初めて他人に触れられる感覚に、身体が意味も分からずに震えた。
自慰の経験が無いわけじゃない。
でも、それとはまた違った感覚が、背中を駆け抜ける。
俺は無意識に雅紀さんの胸を押し返した。
でも一度震え始めた手に力なんて入る筈もなく、俺の茎は雅紀さんの手の中で熱を増すばかりで‥
不意に俺から離れた雅紀さんが、俺の両足を大きく開かれ、
「‥えっ‥どこに‥っ‥!」
驚きのあまり声を上げ、俺の力なく伸ばした手が宙を彷徨い、その手を雅紀さんの手が絡め取った。
そして俺の足の間に割り入った雅紀さんが、昂り続ける茎の先を、ゆっくりと口の中に収めて行った。
「やぁっ‥だめぇっ、やめて‥っ‥」
そんなこと‥
貴族である雅紀さんがするなんて‥
それもおれのような使用人風情のを‥
いけない‥
でも心とは裏腹に、俺の茎を包み込んだ雅紀さんの咥内の熱さに、俺の茎は更に膨らみを増し、まるでそこに心臓があるかのように脈を打ち始めた。
舌先が触れる度、強く吸われる度、俺の背中は大きく仰け反り、下腹部に溜まって行く尿意にも似た感覚を何とか逃そうと、頭を振った。
それでも堪えきれない俺は、
「まさき、さんっ‥やめてぇっ‥‥」
一際高い声を上げた俺は、絡んだ指先を強く握りしめた。
「怖がらなくていい‥」
違う‥
俺が本当に怖いのは、身体を侵食していく快楽に身を委ねることじゃない。
ただあなたに‥雅紀さんに嫌われたくないだけ‥
なのに‥
「も、だ‥め‥っ、あっ、あっ、ああっ‥」
潮のように打ち寄せる快楽の波は、いとも簡単に俺の全身を満たしていき‥
俺はぶるりと大きく身体を震わせると、あろうことか雅紀さんの口の中に堪り兼ねた熱を放っていた。