愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第7章 掌中之珠
辛うじて肘に掛かっているだけの体を成していない和也の浴衣。
曝け出された透明な肌に口づけ‥時に赤い華を咲かせる。
新雪のように白い肌の上に、赤い花弁が落ちたかのような様を美しいと感じた。
愛らしいだけでなく‥美しいと。
私は自分の腰紐を、恥ずかしさに頬を染める彼に解かせると、すぐに目を伏せてしまった細い顎に指をかけて自分のほうに向ける。
その薄茶色の潤んだ瞳には、ゆらゆらと小さな焔が揺らめいていた。
「和也‥このまま私のものにしても‥?」
今更嫌だと言われても引き返せないのだが、無垢な身体を押し開くことへの最後の踏ん切りがつかなかった。
すると肌蹴けた私の胸に柔らかな手のひらを当てた和也は
「‥はい、ずっと雅紀さんの傍に‥居たいから‥」
潤んだ目元を下げ、微笑み(えみ)を溢す。
そうした仕草の一つひとつが愛おしい。
私は無垢な唇を塞ぐと、初めて‥和也の熱くなっている茎を自分の掌で包み込んだ。
自分のものと同じように形を変え、とろりと蜜を零すものをやさしく握り上下してやると、ぴくんぴんくんと身体が跳ねて、掌を当てていた私の胸を軽く押す。
和也の身体が‥私の昂ぶりと同じように、熱くなっている‥
組み伏した身体から離れて起き上がった私が彼の足を大きく広げると
「‥えっ‥どこに‥っ‥?」
慌てたような声を出して、行き場を失った手が宙を彷徨った。
その手を取り、足の間に入った私は熱くなって蜜を零している彼の先を唇で撫でて、ゆっくりと咥内に招き入れる。
「やぁっ‥だめぇっ、やめて‥っ‥」
今度こそ本当に驚いた和也は抗議の声を上げるけれど、咥内のものは脈打ち、硬さを増した。
大きく仰け反った身体は、逃れられない快感に染められていく。
「まさき、さんっ‥やめてぇっ‥‥」
濡れた声をひと際高くした彼は、絡んだ指先に力を込めて強く引いた。
「怖がらなくていい‥」
和也‥君が私の傍にいてくれるなら‥
「も、だ‥め‥っ、あっ、あっ、ああっ‥」
快楽に追いつめられていくのに、どこまでも透明さを失わない彼の声を聞きながら、酷く満たされた気持ちになり、その頂へと導いた。