愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第7章 掌中之珠
それと一緒に、私の袖を握っていた手が布ごと腕を掴む。
私はゆっくりとした手つきで肌の滑らかさを味わうように、胸元から首筋を撫でていく。
「ん、‥っはぁ‥っ、あ‥」
苦しそうにしていた唇を離してやると、途端に吐息と共に透明な鈴の音のような声が溢れ落ちた。
その耳に心地よい声を愉しみながら浴衣の肩を抜くと、湿り気の残る襟足に唇を這わせていき、肌蹴けさせた肌の上にも愛おしさを染み込ませていく。
「や‥っ、はぁっ‥っ‥ん‥」
肌を愛でる度に洩れだす声は、少しずつ甘さを含みだし、首に掛けさせた手が襟足を擽った。
私を誘うなどという手管を持ち合わせていない和也は、与えられる快感にだけ素直に応えてくれた。
「可愛らしい‥初めてだというのに、こんなにも感じるとは‥」
「そ‥そんなこと、‥だって、雅紀さんのが‥」
「私の何が‥?」
胸元から僅かに離した唇で、恥ずかしさに口籠る言葉の続きを誘うように胸先を掠める。
「あっ‥っ、やめ‥て‥」
「言ってご覧?」
そう返事を促す唇で、また淡い栗色の小さな粒に微かに触れた。
「き、きもち‥よくて、あの、どうしたら‥いいか、わからなくて‥」
和也は少し乱れた息の合間に、僅かに震える声で快楽を知りはじめたことを私に教えた。
この子は‥どうしてこうも私の心を攫ってしまうようなことを‥大人としての振る舞いを忘れさせてしまうようなことを‥
胸の中をその可愛らしい手で掴まれてしまったかのような苦しさを覚えてしまう。
「それは私も同じこと‥。君の愛らしい声に‥柔らかな肌に乱されてしまいそうだよ。」
「‥雅紀さん‥俺、このままで‥?」
「ああ、私を惑わせてくれるかい?」
そう言った私は彼の答えも聞かずに、唇の先にある柔らかな粒を舌先で舐めると口の中に含んだ。
すると一瞬、息を飲んだ和也は
「やっ‥ん、やぁだ‥っ‥」
甘い声を上げ、ふるっと身体を震わせる。
私はその甘さを増した声に‥乱れた息に感じる熱に、何とも言えない歓びを感じる。
その柔らかな栗色の粒を舌で転がしながら、滑らかな肌に指を這わせていけば、乱れはじめた彼の吐息は嬌声へと変わっていった。