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【BLOOD+】meaning of life

第3章 限りある者


始まりの場所である動物園を出て、行くあてもなく闇雲に動いた。

2人の妹を捜して…。

何日目だろうか、寝床に適した洞窟を森で見つけ入った。

あてのない人捜しは時間も体力も消費する。

今日だけはと束の間の休息を取るため目を閉じた。


夜になり遠くに見えていた灯りもほとんど消えたころ、近場で物騒な音が聞こえた。
幾つもの金属音と森を住処にする動物たちの騒ぐ声。

眠ることを必要としないレイを連れて洞窟を出た。


金属音が次第に近づく。

私とレイに緊張感が走る。

しかし一向にその根源を目に捉えることはできない。
むしろ急な静寂が訪れた。

その場から見える木の裏側に無数の気配が感じ取れた。

息を殺して木に忍び寄り覗く。


いたのは黒いマントを羽織った少年少女たちだった。

彼等は一箇所に向かって必死に顔を埋めている。


「そこで何しているの?」

危ないと脳が危険信号を発しているにも関わらず、私は好奇心に身を任せる。

こちらの存在に気づいた彼等はゆっくりと顔をこちらに向けた。


彼等の口は暗い森の中でさえわかるくらいに何かで濡れ、表情は怒りと苦しみと不安で満ちていた。

ごくりと自分で生唾を飲むのがわかった。

彼等の側には動物の死体。
これも全体を液体で湿らせている。
節など関係なく鋭利なもので斬り刻まれているために何の動物か見当がつかない。


ガシャンという音が森に響いたとき、こちらに向かっている鎌のようなものに気がついた。

「くっ…」

それをレイが素手で止めたがため、血が滴り落ちた。

「油断するな」

「ごめん」

異様な少年少女たちに意識が集中しすぎて、攻撃にも気づかず、守られるだなんて…不覚である。

私は気を引き締めた。
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