第10章 日記
現ジョエルに人を集めろと告げてから5分後。
「さあ…集め終わった」
自分の席に座ったジョエルが話してくれと言わんばかりに、机に肘を立て、その手を組んだ。
辺りを見回すと人数は私とレイを除いて8人。
意外と少ないという印象だった。
その少ない人数から、私たち姉妹を秘密裏に扱いたいという念がうかがえる。
「お前たちは誰だ?」
金髪の目つきの悪い男が私たちに問う。
「人に名を尋ねる時はまず自分から名乗るべきでは?」
私は少しその男に腹が立ったので、わざと皮肉たっぷりにいってみせる。
「…っ!すまない。デヴィッドだ。」
眉間にシワを寄せながら名乗るデヴィッドにつられ、次々に名乗り出す一同。
「私はジュリアよ」
綺麗な女の人はジュリア。
「オレはルイスだ」
恰幅のいい黒人の男はルイス。
「俺はカイ」
オレンジ色っぽい髪の少年はカイ。
「僕はリクです」
栗色の髪で一見女の子と見間違えそうなくらい可愛い男の子はリク。
カイとリクは見たことがあるな…。
サヤの過ごしていた家に飾られていた写真。
その中にカイとリクはいた。
サヤの家族。
サヤを笑顔にできる存在。
私は彼らを見て、少しホッとした。
今もサヤの隣にいてくれていることがわかったからである。
「そう…私はナリファイ」
「俺はレイムだ」
一息ついて私たちもデヴィッドの要求通りに名前を名乗った。
そして、ある青年に目を向けた。
「ハジも久しぶりね」
「はい」
静かに頷いた青年ハジはサヤのシュヴァリエである。
「ハジはナリファイさんを知っているの?」
サヤの疑問にハジは首を縦に振った。