第7章 CEO
私とレイとディーヴァは薄暗く、何もない部屋にいた。
唯一あるのは腐敗していく人間の死体。
そして、そこから醸し出される異様な腐敗臭。
正確な時間は情報がないが、おそらく一週間前後、こうして過ごしている。
やっとディーヴァが落ち着いた後、私は部屋に1つしかない出入り口の扉に手をかけた。
逃げ出すためではない。
ディーヴァを連れ出すためである。
自分の主人であり、母であるディーヴァを狭いコンテナに閉じ込めて、怖がらせた奴らの下には置いていたくない。
それを支持したのが、あの黒人でなく私が大嫌いなアイツだったとしたらなおのことだ。
もともと、アイツの近くにディーヴァを居させたくなかった。
真相は定かではないが、アイツがいるのは腹立たしかった。
扉を開こうと力を入れるが、開かない。
鍵が掛かっている。
もう出ることはこちら側からは不可能だ。
そう悟った瞬間から、ひたすら腐臭が漂う部屋の中で扉が開くのを待つことにした。
そして、今日。
扉から光が漏れ込んできた。
「気分はいかがでしょうか?」
その光の方角から声をかけてきたのは若い男だった。
躊躇わずに入ってくる男にディーヴァは怯え、私にしがみつく。
私はディーヴァをまたあやすように頭を撫でた。
レイはそんな私たちを守ろうと身構えた。
「大丈夫よ」
私はディーヴァに優しく声をかけると、相手に睨みを利かせた。
次第に目が光に慣れていき、相手の全貌が見える。
私はその姿に脱力した。