第2章 いつまでも~白子~
白子さんが死んだと聞かされたときは足元が崩れ落ちる感覚に襲われた。
「…悪い朝乃。」
天火はただそれしか言わなかった。いや、それしか言えなかったのだろう。
『…うん。』
私もそれしか言えなかった。だって……白子さんは私たちの敵だったのだから。
明治十一年、大蛇は倒され全てが終わったのだ。
「なあ兄貴。」
晴天の下、私は天火の椅子を押して歩く。そんな中空丸が天火に問いかける。
「んー?」
「俺…きっと白子さんを許す事は出来ないと思う。」
「そうか。」
「でも、もう一度逢いたいとも思うんだ。」
その言葉に思わず微笑んでしまった。
「そうだね…私も逢いたいな。」