第4章 君色(中編)~蒼世~
今日も豆腐屋の掃除をしていた。
『…今朝は凄く嫌な夢を見たな…』
この街の住人ではないあの男。そいつは今も朝乃の心を縛り付ける。
『あんな人…二度と会いたくない。』
「あんな人とはどいつのことだ?」
『っ蒼世!』
「さっきからいたんだがな。よほど考え事でもしていたらしいな。」
お前らしくもない…と私に言い放つ。
『ごめんなさい。ご注文を受け付けます。今日はいかがなさいますか?』
「絹ごしを一丁頼む。」
『はい。…ふふっ』
「?何がおかしい?」
『蒼世ったら相変わらず絹ごし好きだよね。』
「からしに合うからな。」
それからもたわいもない会話をした。こういう時間好きだなあ。