第3章 君色(前編)~蒼世~【R15】
ガッ!!!
いきなり男が倒れた。
「お前を捕まえた方が高く売れるんじゃないか?」
『っ蒼世!?』
「…指名手配犯だな。本職ではないのだが捕縛する。」
「朝乃、こんなところで何をしている。」
『…買い物の帰り道だよ。』
「路地裏でか?自分の身すら守れないものが厄介ごとに首を突っ込むな。」
『…はい。』
考えなしに飛び出てしまったことを後悔した。
「だが…」
『?』
「そんなお前でも一応は守ることができたものもあるようだな。」
蒼世の視線は私にしがみついている子どもをとらえていた。
家に帰った私は若干浮かれていた。あの蒼世に褒められたのだ。
自他ともに厳しい蒼世があんなことを言うなんて。胸の高鳴りが収まらなかった。
『思っているだけならいいよね…。』