• テキストサイズ

いちご☆恋模様 PART2

第13章 嵐の文化祭 その6


「・・・まあ、ガキっぽいのは確かだけど・・・」

そう俺が話し始めると、ヒカリは小さく『うっ』と唸った。

「でも俺・・・何回かお前に手出そうとしたぞ。お前、全く気付いてなかったし、なんだかんだで全部邪魔入ったけど」
「ええええぇぇ?!」

これまで散々寸止め(いや、寸止めにすらなってない)を食らったことを思い返しながら言うと、ヒカリがまた突拍子もない声を出した。

「・・・いや、声でけえから、お前」
「い、いつ?!いつですか?!」
「いや、いつって言われてもよ・・・」
「だ、だって、私全然そんなの気付かなかった・・・」

俺の腕の中、目を真ん丸にして驚いているヒカリ。そんな姿を見ていると、また自然に笑いが込み上げた。

「っはは!だろうな」
「ちょ、ちょっと!笑ってないで教えてくださいよ!」

やっぱりこいつ、俺の苦悩に全く気付いちゃいなかった。正直、少し腹も立つ。でも、それ以上に・・・

「いいんだよ、ヒカリは別にわかんなくって」
「で、でもっ・・・!」
「俺はお前のそんなところが・・・・・・好き、なんだよ。だから・・・いいんだよ。前にも言っただろ?」

一体今日、何度目だろうか。こいつに『好き』と言うのは。だけど、今日はちゃんと伝えてやりたかった。不安をなくしてやりたかった。

「っ・・・宗介さん・・・」
「それに・・・お前とはそういうことだけがしたいわけじゃねえから」

今すぐにでもヒカリの全部を俺のものにしちまいたい、そんな衝動も確かにある。だけど、ただこうしてヒカリと抱き合ってお互いの体温を感じ合って、それでヒカリの笑顔が見れるだけで満足している俺も確かにいた。

「・・・」
「・・・お前のこと、大切にしてやりてえんだよ・・・いい加減わかれよ、ばーか」

どうして俺はこう大事なことを目を見て言ってやれねえんだと思う。最後は悪態なんてついちまって。だがさすがにもう照れ臭さの限界だった。


「・・・あああっ!!!」

黙って俺の話を聞いていると思ったら、再びヒカリが耳が痛くなるような大声をあげた。ホントにこいつはせわしないと思う。
/ 254ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp