第33章 ふたりの、初めて。 おまけ
「あー・・・宗介。お前、そこの鏡で背中見てみろ」
「は?なんでだよ」
「いや、いいから、早く・・・」
わけがわからない。わからない・・・が、とにかく背中を見れば凛達がおかしくなった理由がはっきりすると思い、俺は鏡の前に行き、背中を向けた。
「・・・あ」
振り返った瞬間、思わず声が出てしまった。
俺の背中には、小さな赤い爪痕がたくさん散らばっていた。
それは、俺が昨日一番欲しかったものを、ヒカリの初めてをもらった証。
「・・・宗介。お前、しばらく風呂一番最後に入れ。あいつらには刺激が強すぎるから」
「・・・ああ、わかった」
「その・・・なんだ。ホント、随分楽しかったみたいだな、昨日は」
「・・・はっ!まあな」
半分呆れ顔で凛が言ってくるが、一気に昨日のヒカリとのあれこれを思い出してしまった俺は、頬が緩んでしまう。自分でもはっきりわかる。情けないぐらいに浮ついてる顔。
「『まあな』じゃねえよ、この・・・!」
「いって!」
「ったくよぉ・・・くれぐれも人前でイチャついたりすんなよ・・・」
素早く近付いてきた凛は、俺に蹴りを入れるとぶつぶつ言いながらも服を脱ぎ出した。
もう一度、鏡に映った背中の跡を見る。
そういや、帰り道、ヒカリに首元のキスマークのことで散々怒られたから、これでおあいこか・・・なんてな。
ずっとこのまんまじゃ困るけど、消えちまうのもなんかもったいねえな、なんて思って、また頬が緩んだ。