第30章 ふたりの、初めて。 その7 ※
「ねえ、宗介さん」
「ん・・・・・・なんだよ」
そのまましばらく宗介さんの頭を撫でた後、今度はその手を宗介さんの頬に移動させた。やっぱり宗介さんは少し不機嫌な顔。でも、ちょっと赤くなってる頬が可愛い。
「あの・・・あのね・・・え、えっと・・・」
「・・・・・・」
こんなこと言うの恥ずかしくて仕方ない。きっともう、私の頬の方が宗介さんよりも赤い。だけど、ちゃんと伝えたい。宗介さんのことが大好きだから。
「宗介さんが、その・・・す、すごく優しくしてくれたら・・・あの・・・も、もう1回・・・できる、かも・・・・・・」
「・・・・・・」
「だ、だから、えっと・・・私も・・・し、したい、なって・・・・・・」
恥ずかしいし、それに身体だってまだ痛い。きっともう1回なんてしちゃったらもっとつらくなるだろう。だけど、それでも構わなかった。
宗介さんのことを感じたい。愛しいこの人のことをもう1回、身体中で感じたかった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
恥ずかしさに耐えながら宗介さんの返事を待つ。
早く、早く何か言ってほしい。本当にまた熱が出ちゃってるんじゃないかってぐらいに、顔が熱い。
「・・・・・・はっ!」
「わ、笑わないで下さ・・・・・・きゃ!」
宗介さんは始めなんだかぽかんとした表情で私を見てたけど、すぐに噴き出した。
・・・どうしてこの人はいつも私の言動を見て笑うんだろう。さっきなんていよいよって時に噴き出して。本当に本当に失礼な人だと思う。やっぱりもうやめちゃおうかな、なんて腹が立ったけど、その気持ちを全部吹き飛ばしてしまうように、私の身体をきつく宗介さんの腕が抱きしめた。
「・・・・・・ああ、わかった。努力する」
「・・・・・・」
耳元で宗介さんの低くて優しい声が響いて、身体と心が甘く痺れたようになっていく。
「ヒカリ・・・・・・・・・好きだ」
「・・・・・・私も・・・そ・・・宗介が・・・大好き・・・」
お互いにしか聞こえない小さな声で気持ちを伝え合うと、もう何度目になるかわからないキスを私達はした。