第4章 止まらない涙
ヒロイン視点
中学時代の彼はこんな風に過ごしていたんだなぁと休み時間に友人達と楽しそうに話したり真剣な顔でイラストを描いている姿を見て感動した。
それを見ているだけで凄く幸せで、だけど、自分でも良く分からないけど切ない気持ちになる。
自分の行動が未来の彼に影響を与える事になんかならないように出来るだけ関わらないようにしないといけないのに、一緒にいる事が余りに幸せで未だに距離を取れない。
ただの友人でいられれば良いと思いながらも、一定の距離をとりきれない。
近くなる距離に嬉しく思いながらも不安を感じる。
「まぁた、そんな顔してんのか?」
「え?そんな顔って?」
「はぁ・・・なぁ優仁、夏休みの予定とかさ・・その、何んか決まってる?」
「?夏休み?えっと、特には」
「本当!?」
「う、うん、どうしたの?」
「んにゃ、色々遊びに行きたいとか思って」
また、ドキッとする。
貴方はそうして不意に見せる笑顔でこちらを動揺させている事なんか気が付いていない。
ポンッと叩かれる肩にドキドキしてるなんて知らない。
もしも自分の気持ちが気づかれたら、きっと、絶対に傍にいられない。
そう言うのが実は苦手なんじゃないかと思う。
ライブなどでテンションが上がってる時に大切なメンバーと触れ合うスキンシップはきっと気にしてないと思う。
だけど、ソレと私の思うコレは違いすぎる。
だから、きっと、知られたらソコで終わりだ。
それだけは避けたい。
この世界で今、彼が居なくなったら自分はきっと生きてはいけない。
彼がいるから立っていられる。
だから、絶対に気づかれないようにする。
それが今、自分の最優先事項だ。
「優仁!」
「はっはい!」
「たくっ・・・今度の土曜日遊びに行ってもいい?って聞いてんだけど」
「え?あっ、うん、もちろん」
「やったっ!」
眩しい笑顔。
それをこんな近くで見ていられるのは後少し。
どうかその時間が少しでも長くなるように今は願うしかない。