第6章 私立リアリン学園!~イケヴァン・レオナルド~ 情熱編
「用ねえんなら、消えろ。こんな時間にウロウロすんじぇねえ」
そう言うと、彼は店の裏口のドアを開けた。
あれ、レオナルドさんの店の人だったの?
「あ、あの………っ」
慌てて声をかける。
「私、お店に落し物しちゃって………」
「あ?めんどくせえな」
そう言うと、中に入って行ってしまった。
え、どうしよう。
「さっさと来いよ」
中から、声が聞こえてきて………。
急いで彼の後を追う。
中に入ると、暗くてとっても狭いスペースで。
正面にドアがあって、そこがゆっくり開いた。
「騒がしいな」
………っ!!!
そう言って、扉の向こうから現れたのは、レオナルドさんだった。
同時に、甘い香りとかすかな煙―――。
ゴミ袋の彼の肩ごしから、タバコをくわえながら立っている姿を捉える。
そのすぐ後ろは、店内になっていて、店の明かりが彼を照らしていた。
「………小娘?こんなとこで何やってんだ?」
驚いた表情で、私を見ているレオナルドさん。
「あの、部屋の鍵を失くして。もしかしたら、ここに落としたかもと思って」
「鍵?………ああ、なるほど」
そう言って、ゴミ袋の彼に視線を移す。
「後の店じまい、しといてくれるか」
「ちっ、相変わらず人使い荒えな」
ゴミ袋の彼は、レオナルドさんの横を無理矢理通り、店の中へと入っていく。
「こっちだ」
すぐ横にもう一つドアがあり、そこを開けると、中へと促される。
言われたとおり部屋に入る。
………ここで、待ってろってことだよね。
クーラーが効き過ぎていて、寒いくらいだ。
中は、倉庫のようで、お酒の在庫や袋が積まれている。
隅の方には細長いロッカーが並べてあり、小さなテーブルと椅子が二つ寄せられている。
休憩や、更衣室も兼ねてるんだろうな。
ぐるりと見渡しながら、レオナルドさんが戻って来るのを待つ。