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ハル

第1章 出会い


周りがなかなかの酔っ払い比率になってきたのでお金を準備してそろそろ帰ろうかとそっと立ち上がった瞬間。
「もう、帰っちゃうんだあ。」
腕掴まれて、カウンターに連れ戻される。
うげっ、捕まった。振り向くと超笑顔の丸坊主が。
なんだこいつ誰だよ!私は帰りたんだよ!と思いながらも、顔には出さず曖昧な苦笑いでごまかす。
その間にさっきの自己紹介の時のことを必死に思い返して考える。誰だっけ?関心無いからさっぱりわからん。今回は学生来るって言ってたよな?こいつかな?しかも、学生って歳下なんじゃ。あちゃー。
正直、酔っ払いにも、歳下にも興味ないわぁ。
適当にあしらって、おさらばしよう。
「明日仕事なんだよね、電車あるうちに帰るから、あとよろし、、、」言い終わらないうちに明らかかに人の話聞いてない感じで詰め寄って来た。
「さっき、欠伸してたよね。やっぱ退屈?」
「つまんない?」
「みんな出来上がってるしね。いつもこんな感じ?俺もさぁ実は退屈なんだよねー。」

目を合わせながら近づいてくる。
うわーー!笑顔が怖いよぉ〜。

「あのさぁ。」
「今から、抜け出さない?」

耳元で囁かれた。


ひゃーーーー!
うわっ、ゾクゾクする!
なんだこの声?低くてよく響く声。
童顔で線も細くて背格好も私と変わらないくせに、この声。
さっきと違うじゃないか!なんだこのギャップ。

いつもだったら、絶対ついていかないけど、もう一回あの声聞きたいなぁって思っちゃったんだよね。本当に、何やってんだよ私。


これが、彼、崇史との出会い。
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