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ハル

第1章 出会い



「今から抜け出さない?」

えっ。あ、あたし?
私に言ってるわけ、この人。

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いつもの遊び仲間からの飲み会の集合。
この飲み会必ず朝までになるんだよなぁ。
正直仕事もきついし、眠いし勘弁してほしいよぉ。でも、断りきれないから仕方なく参加する。

コアな面子は5人くらいで、そこに毎回何人か新しい顔ぶれも混ざる。
男の子は先輩が連れてくるし、女の子は私が連れてきたりが多いかな?
自己紹介が済むと各自勝手に呑み始める。この飲み会半端ない酒豪揃いで、深酒なんだよね。
一応、仕切りの先輩にはお世話になってるし、兄貴的な存在だし、顔も立てないといけないから、興味ない相手ともちょっと愛想よく、さりげなく話も合わせつつニコニコ。
飲み会も嫌いじゃないし飲めなくても楽しいから好きなんだけど、今回は違う。残業続きでヘトヘト。正直飲み会より寝たいんだよぅ。張り付いた笑顔が苦笑いに変わりそう。

いつものように飲むふりだけして、早々に水割りに似せた烏龍茶に切り替えるためにカウンターに引き上げる。
「マスター、いつものやつにしてくれる?」
「いつものねー。」
「一葉ちゃんて、飲めそうに見えるのにね。本当に飲め無いの?」
「飲め無いに等しいの。飲むと凄い頭痛と睡魔が酷くて。だから飲ま無いようにしてます。一回ぶっ倒れたことあるし。」
「女の子なのに、倒れたって怖いね。」
「でしょ。多分、アルコールとアスピリンが良くなかったと思う。」
「それって、ヤバい組み合わせじゃん。命無事でよかったね。」
「ほんと、反省しました。」

マスターには協力してもらうので下戸なことを告白したけど、他の面子にはかっこ悪くて飲めないとは言えない、この微妙な立ち位置。我ならこの性格なんとかしたい。

どうせみんな、自分のことに必死で誰も私のことなんて気にしてないだろうし、頃合いを見て抜け出そうと思っていた。
体を襲う睡魔に負けないうちに帰らなきゃ。そんなことを考えているとついついでてしまう欠伸。ヤバイ。
キョロキョロ見回すけれど、誰にも見られてない。ほっと一安心。見つかったら、またテーブルの方に戻されてしまう。今日に限っては、この体育会系のノリは勘弁して欲しい。
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