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第2章 うしろのしょうめんだーぁれ


ところでなんか隙の無いヤツだなと思ったら、暗殺一家の期待の星だそうで。
しかも家出中か。大丈夫なのかゾルディック家。

……――あれ?
「なーキルア、お前の家ってゾルディック家?」
キルアは一見きょとんとした振りで瞬きして、ちょっと警戒が篭っただけどどこか試すようなある意味面白がるような視線を向ける。
「どーしてそう思ったわけ?」
「いや、何となく?」
キルアはガクッとこけた。
「疑問系かよ」
適当に笑ってごまかした。
だって、唐突に浮かんできたし。「あれ、でもキルアはどこの家とかまでは言って無い、よな……」って、自分でも疑問なわけで。
「んー、とにかく、ゾルディック家なんだろ?」
「まあ、ね」
あっさり肯定か。ゾルディック家は潜伏も偽名も使ってないって本当なんだな。

――知っている。でも知らない。この感じは前にもあった。

彼等と初めて逢った時。わたしは彼等の名前を知っていた。


本当は知らなかったはずなのに。
どうしてだと聞かれても困る。というより、むしろわたしが聞きたい。
……本当に初対面だったか。それさえ危ぶまれる。

……いや、初対面だ。
だって、以前会った記憶が無いから。


それから、もう一つ不思議な事。

彼等だ、と。

酷く懐かしかった。嬉しくて、泣きそうだった。彼等に逢った瞬間に大切な大切なスイッチが入った。
妙なたとえだと自分でも思うけど。
初めてリアルな世界に触れたような、錯覚。

きっと、ずっと会いたがっていたんだ。自覚も根拠も無いけど。
そして彼らも同じ想いを抱いていたらしい。
試験開始前にちらと見かけて、それからずっと探していたんだと。
運命的な出逢いってヤツだろうか。――違うな。運命って響きが何となく気に入らない。
宿命? ……違う。悪くしてどうする。
まぁ、ええと、なんだ。
とにかくその時どちらからともなく、「一緒に居る」ことを選択したわけで。
それがわたしにとってはかなり嬉しい事なわけで。
原因究明よりも優先して、それだけで良いんじゃないかと、想うくらいに。

――ハンター試験。楽しいことになりそうだ。
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