第2章 うしろのしょうめんだーぁれ
で、その後結局缶蹴りは止めて、今は大人しく窓の外を眺めている。
黒に限りなく近い濃紺の窓の外、眼下に光の海がさざめく。代わりに空の光は極端に乏しい。
他方の光が強ければ、もう一方は闇になる……。
わたしは隣りに居る二人をそれとなく見遣った。
さっき。わたしは二人の居場所に、こっそり近づいていった。
近くに潜んで待ち伏せして、蹴りに来たところを返り討ちにしようと思っていたが、余りに動かないのでどうしたのかなと思っていた。
少人数の缶蹴りだから、一人捕まれば勝つのはかなりきつくなる。
だから迂闊に動かないのだろうか、もっと面白く動いてほしいのだけど……ここはちょっとつっついてやろう。そう思って一歩を踏み出そうとしたとき。
缶は、蹴られた。
ありえないことだ。わたしとゴン、キルア達はほとんど同じ所、缶から離れた場所にいて、あのとき缶の近くには誰も居なかったはずだから。
二人の懐疑の目はわたしに向けられた。二人というか主にキルア。
だけどそんな目で見られても、わたしは数十メートル離れた缶を蹴れるような超能力なんて持ってないんですけど。
結局、「よくわかんない」ってことで片付けて、ゲーム再開したけど。