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第2章 うしろのしょうめんだーぁれ


なんていうか。
掴めないヤツだ。
だけど、振り返って、「どうした?」そう怪訝に問うエレンは、本当に単純で何も裏も無くて。
何も変わらなくて。別に特別なことなんて何にも無いようにも思えるのに。
……強いて言えばゴンと似ている、けど。
ある意味では正反対の属性。例えるなら、陽炎のような……不安定さを持っている。





読めないし得体が知れない。
でも悪い気はしない。
無防備に笑いながら接してくる様子に、警戒する気も起きなかった。


あいつは敵じゃ無い。


何よりその認識が優先された。
他人は敵だと教え込まれたオレが、考えられる限り不審なあいつに対して、安心している。




とは言え今現在のこの状況は、その安心感とかとは全く別の問題だ。
エレンが100をカウントしたのは、数分前。


鬼の気配を探るのなんか、幼い頃から命がけの鬼ごっこをさせられてたオレにとってはあくびがでるくらいに簡単なことで、実際すぐに判りやすすぎるほどに気配は知れた。




その気配は
この空間の 至るところに余す所無く  存在している。




周りを取り囲む空気、上下前後左右、あっちにも、ここにも……目の前にも。背後にも。
あいつが、居る。
この空間全てに、あいつが居る。全方向からこちらを見ている。
至る所に、同時に存在している。



敵意なんて微塵も感じないのに……すぐ背後にも、目の前にも居るような、触れるような気配が、神経を握り潰す。


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