第2章 変わった出来事
(〜〜〜〜っ)
いたたまれなくなり、勇気を出してばっと及川は少女を向いた。
普通に考えると、電車で自分を見てくる相手に対し、視線を交差させるのはとても気まずい。
少女は自分と目が合った瞬間、ぱっと目を離すか、何か横に視線を逸らすなど、するだろうと思っていた。
しかし、彼女は、目を逸らすことなく、
ただじいっと及川を見つめ返しているのだった。
ふたりきりの電車での、異様な空気。
眠気なんて、とおに通り過ぎ、
見つめ合うふたり・・・・・・
(ん・・・?)
ふと、及川は彼女の顔に見覚えがあった気がした。
(この顔・・・どこかで・・・・・・)
"とおるくーん!あそぼ!!"
それは、断片的な、幼い記憶から来ていた。
ハッとして、及川は小さな声で言った。
「リオ・・・・・・?」
「え・・・・・・?」
キョトンとして目を丸くする少女。あぁやってしまった、人違いだったのかもしれない。
昔、自分の近所に住んでいた少女に、目の前の彼女はよく似ていた気がしたんだ・・・
(人違いだった、かな・・・)
そう思い謝ろうとした矢先、少女は口を開いた。
「私のこと、おぼえてるの・・・?」
自身を指差し、少女は尋ねてきた。