イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第8章 消せない熱 続編 第二幕〈徳川家康〉
そうして三人は走り出した。
まだ間に合う、この雷から離れられれば……
そう思っていた。
だが、三人の思惑は無情にも外れてしまう。それが神の意志なのかは分からないが、暗雲は安土城下全てを覆い尽くし、その瞬間が訪れてしまった―――
大雨が降り注ぎ、御殿から出て馬で移動していた三人は、お互い離れた場所に居ながら、雷によって出現したワームホールにその身を捕らえられてしまった。
安土城下の西側を走っていた佐助から姿が消え、次に東へ向かっていたの身体も消えようとしていた。
傍にいた家康が、の身体を抱き締める。
「ダメだ!行っちゃダメだ!……!!」
「私も……行きたくない!家康と、一緒に居たいよ……っ」
「……っ!」
の瞳に涙が溢れ、頬を伝い、やがてそれは地面に落ちる事なく消えていく。
辺りに立ち籠める得たいの知れない何かのせいで、だんだんと景色が滲み、愛しい人がぼやけていく。
家康は抱き締める力を一層強め、心の中で神を罵倒しながら、強く強く願い続けた。
(絶対に奪わせない!絶対に離れない!……が居なきゃ、この先に生きる意味なんて無い……っ!!)