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妖狐の籠

第1章 狐


「狐さん尻尾たくさんあるね!
すごいもふもふで気持ちい…!」


千夏は我に怖がること無く

無邪気に笑っておる


「これこれ、そんなに触らずとも…」


「すごい!狐さん、耳も本物だ!
飾りじゃないんだ!」


壁に寄りかかり地面に座った後も

千夏は小さな愛らしい手で

我の耳をちょんちょんと触り


「これこれ、そこはくすぐったいぞ」


千夏には警戒心というものが無いのか…?

それはそれで心配とて…


「狐さんってすごく背が高いよね!
190cmくらいあるんじゃない?!」


「『狐』の族は皆、同じくらいとて
其方が小さいだけであろう」


隣にちょこんと座る千夏の頭を

ぽんぽんと撫でる


「あぁっ!狐さん!
ダメだよ!私の身長縮んじゃうよ!」


「そう変わらぬよ」


我が『人』に化けている時と

同じように楽しい

千夏がいるだけでこんなにも…

…ますます手放せぬ


「ねぇ、本当に狐さんは狐珀知らない?
髪も瞳の色もそっくりなんだよなぁ…」


「狐珀というのは『人』ではないというのか?」


「いや、そういうんじゃなくて…
笑った顔とかすっごーく似てるの!」


そう言って笑顔になる千夏

千夏の笑顔も

出逢った時から変わっておらぬよ…


「ほう、そういう事もあるかもしれぬ
我は狐珀の話をもっと聞きたいのう」


「いいよ!狐さんに狐珀のお話するね!」
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