第2章 はじめましてと噛み合わない会話
豆の癖に動いたり、ツルがフラフラ動いたりは全般的にアウト。触れないし近寄れ無い。全部虫に見えてしまう。
…正確には机にあってもいいけど、怖過ぎて目が離せない。その癖、見ていると恐怖の余り騒ぎ出すのだ。
初めの頃はその内慣れるからと無理矢理近くで習っていたが、あまりに怖がり過ぎて。最終的には耐えられなくなり、半泣きで壁際に台を置いてそこから歯を食いしばって眺め始めた辺りで、溜息をつきながらも対象の材料は使う寸前までしまっておいてくれるようになった。
そのかわり教科書を開いているので、私が此処だと思うタイミングで避難しなければ、容赦なく目の前で行われるという、スパルタ加減が若干増してしまったけれど。
おかげで、レシピを見ればどのタイミングで何を準備するかが頭に入ったので、手際の良さには磨きがかかったと我ながら思う。
「ね、そう言えば。」
「なんだ」
「そろそろ新学期の教科書とか買いに行かなきゃじゃない?マダムに注文した服も取りに行かないと…。」
「服は明日、取りに行けばいい。」
「教科書は?」
「…ポッターに手紙が届かないのだ」
「ふんふんふん。……あぁ、成程ね。」
要するに、ハリーがダイアゴン横丁に行く日に合わせる事で、入学前に接触させてようということね。
「そろそろアポトキシン4869も、慣らさなきゃだよね?」
「脚はもういい。打撲痕もよくなった。あとは肩ですな」
「2週間以上だからね。だいぶ良くなったけど、どう?」
「…今夜は少し痛みますぞ」
「え゙っ」
実のところ、自室に帰ると動き回っていたのだけれど。本来、痛む所は負荷をかけて治すタイプだからか、セブルスがそれをも見越して治療してくれたからか。
腫れも無く、痛みも無い。全力疾走までは試して無いから、その辺はゆっくりセブルスに見てもらおうと思う。
「そろそろ集中したまえ」
話しながらも手は動かしていたが、調合は危険を伴う。セブルスが説明を始めるのを期に口を閉ざし、意識を集中させる。
「先ずは特徴。ポリジュース薬は香り、味、水色。どれをとっても非常にわかり易い。しかしながら、材料はそう簡単に手を出せる品ばかりでは無いし、調合もそれなりの実力が必要となる。」
うーん。何度聞いても、このまま授業やってればモテると思うんだけどねぇ。ま、役得かね。
