第2章 はじめましてと噛み合わない会話
「本当に、処女なのか…?」
腿に当たる吐息と振動にビクリと肌を震わせて、そろりと視線を下ろす。
「だから…、いった…じゃ、はぁ、っ」
涙も出ない。何だか急に馬鹿らしくなって、投げ出したままだった腕で再度、目元を覆う。
「も、いいから…っ、するなら…さっさと終わらせて…っ」
自暴自棄。正にその言葉の通りだった。ここ迄しておいて終わりにはならない。そんなもの、遠の昔に嫌と言う程思い知らされた。
…でも、そうね。これ迄に比べたら、気持ち良かったのも事実。だったら、それでいい…よね。これはレイプじゃない。だから、傷付く必要は無い。
「……………すまなかった」
長い沈黙の後の謝罪。それと同時にバサリとシーツが被せられ、ボソボソと呪文が聴こえた。途端、汗も涙もサッパリと消え去り、どこかお風呂上がりの様なスッキリ感が身体を包む。
「なに…?」
「怪我の手当を続ける。そのままでいい。」
ベッドに沈んだままの体勢で、脱ぎ捨てられた下着を履かせようと手を伸ばすセブルス。彼の指が足首に触れた瞬間、反射的にその手を払い除けようと身体が反応した。
しかし先程まで酷使して来た体は、至る所から悲鳴が上がっていて。ビクリと僅かに体を震わせただけで、上体を起こす事すら出来なかったのだ。
「…なにがしたいの、あんた。」
「………………。」
返事すら無い事に唯々腹が立って、溜息を洩らす。
「少し寝る。」
埒が明かないようだし、一先ずは脱力感でいっぱいの体と、色んな感情で疲れ切った頭を休ませる事にして目を閉じると、珍しい位にあっさりと睡魔が襲って来たので、抗うこと無くそのまま意識を手放す事にした。