第68章 咲く恋、散る恋、芽吹く恋④(宮侑 治)
「可愛エエ…なぁ
真っ赤やで?姫凪…」
真っ赤な耳から紐が外れ
赤い頬とそれと同じくらい
赤い鼻が現れる
ヤッパリかい…
『見んといて…や…』
「もう遅いわ、アホ」
予感はあった。
いつも日焼け対策的なもんで
バッチリメイクしてるわけやないのに
ワザワザマスクで顔隠して
出て来るまで時間掛かったのに
服とか髪とか適当なんは
「クリスマスには
早いんちゃう?
トナカイさんか?」
泣いてたの必死で止めてきたんやろ?
隠そうとしてたんやろ?
さっき電話で
声、元気なさそうやったからな。
やけに、くぐもってたんは
毛布に包まって
声を殺してたからやろ?