第2章 第一章 無望
_太陽というものがかつてはあったらしい。
というか、あったのを私は知っている。すみわたる空に、輝く太陽。
世界には緑と青が広がっていてとてもきれいだった。
だからこそ、私はそれを壊した神霊種を許せなかった。だって彼らは、世界を支配するため、唯一神の座に座るために大戦を始めたのだから。どの神も万物をうみだし、他の神々を殺そうとたくらんだ。
そのせいで、数多の命が滅びようとも、世界が壊れようとも関係なく、ただ神が神としてあるために。
そんな彼らが私は嫌いだ。そしてーわたしーという神の成り損ないが嫌いだ。
そんな中で、戦うことを真っ先に放棄した遊戯の神が馴れ合う人間に興味を持った。
この理不尽で不条理な世界に生まれてしまった少年。幼くもゲームを楽しめる少年。
私はテトに黙って少年に会ううちに彼を守っていきたくなった。わたし、という神はなにもうまない。なにも滅ぼしはしない。ただ彼らもわたしという存在を滅ぼすことは叶わない。
それは絶対だ。
ただ、わたしは神の成り損ない。それだけを理解していただければ問題ない。成り損ないなだけあって、私には彼らのルールは通用しないし、彼らとは違う。
そうでありたいだけかもしれない。
目の前の扉が開く。入ってきたのは白髪の青年。目の下はやつれたかのようにくまができ、目には光が見えない。
「リクくん、おかえり」
「……ッ
俺はッ!!
俺は……またッ!!」
「お疲れ…」
そっとリクを抱き寄せ、背中を優しく叩く。力強く握られた拳には多くの感情と責任、後悔があるのだろう。
胸の方が温かく濡れるのを感じる。
手には傷があって、またなにかに当たって、自分に罰を……心を閉じて、頭を冷やし、鋼の心を保とうとしているのかと思うと心がいたんだ。
私はリクの支えになれているのだろうか。彼を守っていくと思ったのではないのか。なぜ目の前の彼はこんなめにあっているのだろうか。
「イワンに、死ねと、命じたんだ…最後まで叫んでいたんだ。聞こえないふりをして、聞いてないふりをして耳をふさいだ……いつまで、いつまでこんなことをしてればいいんだ……」
ポロポロとこぼす言葉は心に刺さって、私はなにもできていないことを悟る。