第2章 序章:駆け出しのルーキー
sideシルビア
あの事件から数年が過ぎようとする。
村人にはみことちゃんの事は何も告げず
教えてくれた少年にだけ助けた事を
こっそり教えると、少年はそのままどこかに
連れて行って欲しいと言ってきた。
確かに村人や他の人に傷付けられるより
アタシが面倒を見た方がいいと思う。
少年にはみことちゃんの居場所を教えて
くれた事、助言してくれたことを礼すると
"俺はただ村人が許せないだけだから"と言って
はたとどこかに消えてしまった。
「それでも、ありがとう」
伝わっているかどうか分からないがふっと
背中をなぜる風はどういたしましてと言ってる
そんな気がした。
『シルビアさん!ご飯です!』
あの時では考えられないような笑顔で
アタシを呼ぶみことちゃん。
「今行くわ!」
この笑顔が消えないように、
この笑顔の元になれるようにアタシは今日も
人を笑わせる事に、みことちゃんを笑顔に
させることに力を入れるのだ。