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あの日の君に 《気象系BL》

第5章 認識


智くんの腕の中は温かくて、優しくて…懐かしくて…思わず智くんの洋服にしがみついた。

気持ちが落ち着いてくると分かったんだ…

やっぱり智くんは全てを知ってるんだって…

智くんが原因かと聞いても否定しない上に自分が悪いと言い張る。

しかもニノとの幸せな未来を見ろなんて…

だってニノとの事は誰にも教えてない。それなのに智くんは…
 
その時、ふと頭に浮かんだセリフ…

『ニノと幸せになってくれればいい…』

前に誰かに言われた言葉…この言葉を言ったのは誰…?

「…い、ったっ…!」

「翔くんっ⁉」

片手で頭を押さえ、もう片方の手で智くんの腕を強く掴んだ。

「翔くん、また頭痛い?」

「ご、めん…少、し、このま、まで、いて、いい?」

智くんにもたれ掛かるように体重を預けた。

すると智くんは突然俺の脇の下と膝裏に腕を差し込み抱き上げた。

余りにも急な行動に足をバタつかせると

「掴まってて、ソファーに連れてくから」

言われるがまま、智くんの首に手を回した。

ソファーに着くと俺を降ろし隣に智くんが座った。

「少し休んで…俺の足、枕にしていいから」

「え、でも…」

躊躇ってる俺の肩に手を乗せそのままそっと寝かせてくれた。

「ごめんね、考え込ませちゃって…今は何も考えないで…」

そう言って智くんが俺の頭を撫でた瞬間、体にビリっと電気が走った。

この前とは違う撫で方…

そっと髪を梳く様に優しく撫であげる…

「翔くん?」

智くんが驚いて俺を見てる。

智くんの手が俺の頬に触れそっと撫でてくれた。

俺の瞳からは止めどなく涙が流れ落ちていく…
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