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あの日の君に 《気象系BL》

第5章 認識


やっぱり智くんに直接話を聞いた方が良さそうだな…

忘れてしまってることは申し訳ないけど、一番ふたりの事を知ってるのは智くんなんだ。

俺が『智くん』呼びをやめた理由とか、智くんが静かになった訳とか聞けば何か思い出すかもしれないし。

今度仕事終わりにでも時間取って貰おう。

そう思っていたのに…


他の3人が別の仕事へ行き、ふたりきりになったタイミングで智くんを食事に誘ったら

「ごめん、今日は他に約束があるんだ…」

「じゃあ、別の日でいいよ…
いつなら空いてる?俺、予定合わせるから」

智くんは俺から視線を逸らせ

「…暫くは無理だと思う…」

「なら、食事に行かなくてもいいよ…
少しふたりで話す時間取って貰えない?」

智くんは困った顔をした。

「ごめんな?翔くん…俺、翔くんに話すこと特に無いから」

そう言って立ち去ろうとしたから思わず腕を掴んだ。

「待ってよ!なんで⁈
他のメンバーは色々聞かせてくれるのに
なんで当の本人が何も話してくれないの?
俺が忘れちゃったから⁈本当は智くん怒ってる⁈」

智くんは一瞬驚いた顔をしたけど、その後優しく微笑んでくれた…

「違うよ…怒ってなんかない…
悪いのは俺だから、だから翔くんは、俺の事忘れたままの方がいいんだ…」

そう言い終わる時の智くんの表情は悲しそうだった。

そんな顔して欲しくないのに、何をひとりで抱えてるの?

「智くんは何を知ってるの?
俺の事なのに俺に教えてくれないの?
記憶を無くすくらいショックな事が俺の身に起こったの?
その原因が智くんって事⁉なんで俺はそれを知っちゃいけないの⁉」

段々興奮してきた俺を宥める様に、智くんがそっと抱きしめ背中をポンポンと叩いてくれた。

「ごめんな?苦しめて…
でも、翔くんには幸せになって貰いたいから…
だから思い出さないでよ、過去の事なんて…
ニノとの幸せな未来だけ見てて…」
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