第1章 伝えておけばよかった《柴田勝家》
私は、叶わない恋をしている
目線の先にいる男、私の想い人
緑色の甲冑を身にまとい、兜には二つ雁金紋
そう、かつては鬼柴田とも恐れられた柴田勝家
しかし今の彼は織田信長に謀反を起こしたものの失敗に終わり、その瞳には生気が感じられない
今ではかかれ柴田と家臣たちに馬鹿にされ、命令にただただ従順に従うだけの人間になってしまった
『ちょっ、ちょっと勝家!』
ほら今も
柴田「なんだ」
『まさか直ぐに出陣するつもり!?長距離の移動で兵士たちは疲れ果ててるのよ?!このまま戦えば「休めとは、命令されていない」・・・勝家・・・』
休め、と言われない限り彼は休まない
信長様がそんなことを言うような人ではないと分かっているはずなのに・・・
『・・・・・・勝家・・・』
昔の、あなたはどこへ行ったの?
いつも何かしら目標を持っていて、周りのこともよく考えられて、強かったあなたは
『お市様を・・・』
勝家「・・・なんだ」
『お市様が戻ってきたら・・・・・・うぅんなんでもない』
そのまま踵を返して出陣の準備を始めた
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私と勝家は幼なじみだ
勝家は武士として、私は忍びとして織田に仕えた
元々頭も良くて、腕っ節も強い勝家はぐんぐん出世していった
気づいた時には、勝家に恋をしていた
風になびく女顔負けの綺麗な髪、希望を持った強い瞳、綺麗な言葉を紡ぐその唇、雪のように白に肌、全てが好きだった
勝家「聞いてくれはるな」
この言葉から始まり、彼の好きな各地の怪談話が始まる
勝家「日の本は素晴らしい国だ。こんなに色々な怪談話がある。もっともっと探していきたい」
好きなことを話すあなたが好きだ
そしてそのうち違和感を覚えた
変わらず私のところに来るがその瞳は別の場所に向けられる
気になって視線をたどってみると
(お市・・・様)
信長様の妹君、お市様がいた
私と違う絹糸のような黒髪、人形のように、否人形よりも整った顔、細く長い手足、透き通るような白い肌
勝てっこない、そう感じた