第1章 プライドが許してくれない
リーナ、お前はきっと知らなかっただろうが、俺は入団して以来、ずっとお前のことを愛していた。
最初はわからなかった。何故お前を目の当たりにすると、心臓の鼓動が速まるだろうか。何故お前の声を耳にすると、落ち着かなくなるだろうか。
俺は気づいた。お前はいつも俺を憎んでるような目で見詰めていた。お前に憎まれるようなことはしていないから、その理由がわからなかったが、それでも俺はまた気づいた。一見憎々しい視線ではあったが、実はそれに他の感情が込められていたんだ。
「あの子は恐らくリヴァイに惚れているんだろうね」
「ああ、そのように見えるな」
「リヴァイも何だかんだあの子のことが気になるようだね。あの二人がもっと自分に素直になれればよかったのに」
「そうだな…」
あの日、エルヴィンとハンジの会話がたまたま耳に入った。思いもしなかった内容だったから物凄く驚いた。彼女の自分に対する気持ちはとっくに気づいたが…
「そうか、この気持ちが…」
俺のプライドが許してくれなかったんだ。惚れた女を自分の腕の中に収めることもできねぇなんて、最高に情けなかった。
だから俺は決めていた。お前を絶対に俺の物にすると。
翌日、兵舎の廊下を歩いてるお前をつかまえて強引に口付けをし、そして心に秘めていた想いを告げた。頬を緋色に染めながら目を丸くしたお前はこよなく可愛らしかった。
ひどく動揺していてずっと黙ったままのお前を見ていると、きっとお前も俺と同じ気持ちだと確信した。