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短編集

第2章 それは夢より(楽夢)




「俺が一生お前を愛してやるよ」
『一生…』
「大胆な告白だね」
「俺は本気なんだよ。なぁ…ダメか?」

そんな熱っぽい声で言われたら私…
楽は大事な友人だけど…すぐには答えられない。

『返事は…出来ないけど…今日1日だけなら……いいよ』

誕生日だから。
それ以上に理由なんてない。
あっちゃいけないんだ。

「その気にさせてやるから覚悟しろよ」
『え?っ、ん!?』
「っ、ふ…んっ…ぁ…っ、夢なんかより本物の方がいいだろ…?」

夢で見たのとは全然違うキス。
なにこれ…身体に力が入らない…。

「おっと」

立っていられなくなって楽に身体を預けるような事になってしまう。
腰が立たないって言うのはこう言う事…?

『ば、ばか…』
「ダメだ…」
『…何が?』
「お前がもっと欲しくなる」
『なっ』
「楽、これ以上は許さないよ」
「見てて恥ずかしいよ」

九条さんと十さんの声で私は我に帰った。
そ、そうだいくら貸切とは言え楽と2人じゃないんだ。

「なぁ…俺んち来ないか?」
『それは…』

成人男性の家に私が…?
ある意味自殺行為だよね…?
それに私も楽もアイドルだし……。

「ちゃん未成年なの忘れてないよね」
「変な意味で言ってねえよ」
「男が持ち帰りなんてそう言う事でしょ?」
『……そう言う意味で?』
「違うって言ってんだろ!だいたい俺は好きな女は大事にする主義だ」
「だって。どうするのちゃん」
『私の家に何回も来てるし…逆はないから……今日だけだよ』

楽の顔がパァッと明るくなって私をさらに抱きしめた。
正直に言うと苦しい。

「連れて帰る前に放してあげたら?そのままだと窒息するよ」
「わ、悪りぃ」

解放はされるものの、楽に身体を支えられたままだ。
足に力が入らないって…世間の女の子が聞いたら卒倒してしまうんじゃなかろうか。

「へえ…ちゃんの家に何度も行ってるんだ」
『楽なんだけど楽じゃないって言うか…』

山村さんなんだけど。
あ、玄関までなら八乙女楽も来てた。

「それ以上言ったらまた口塞ぐぞ」
『……』
「ちっ」
「残念そうにしないで」
「うるせえな…ほら、行くぞ」
『わ、わかった…』

九条さんと十さんをバーに残して私たちは楽の自宅に向かう羽目になってしまった。



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